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クラウドサービスが普及した現代において、AWSは多くの企業が選択するクラウドプラットフォームの代表格です。一方で、「何から手をつけていいかわからない」「どんな準備が必要なのか」「そもそもクラウドって本当に必要なのか」といった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
AWSは非常に多機能なサービスですが、適切な手順で進めれば、ITに詳しくない方でも安全に導入できます。この記事では、AWS構築の全体像から具体的な手順、注意すべきポイントまでわかりやすく解説していきます。
クラウド導入を進めるうえで、まずはその仕組みや前提知識を理解しておくことが重要です。ここでは、クラウドとオンプレミスの違いや、AWSの代表的な機能について解説していきます。
AWSとは、Amazon Web Servicesの略で、インターネット経由でサーバーやデータベース、ストレージなどのIT基盤を利用できるクラウドサービスです。従来は自社でサーバーを購入し、データセンターに設置する必要がありましたが、AWSを使えば必要な分だけインターネット経由で利用できます。
これは電気に例えるとわかりやすいでしょう。昔は各家庭で発電機を用意していましたが、今は電力会社から電気を買って使いますよね。AWSも同じように、IT基盤をAmazonから借りて使うサービスなのです。
オンプレミスとは、自社でサーバーや機器を購入して運用する従来の方法です。一方、クラウドは先ほど説明したように、インターネット経由でIT基盤を利用する方法です。クラウド導入には以下のような大きなメリットがあります。
初期費用の大幅削減が最も大きなメリットです。オンプレミスでは数百万円から数千万円の初期投資が必要でしたが、AWSなら月額数千円から始められます。また、必要に応じてサーバーの性能を上げ下げできるため、ビジネスの成長に合わせて柔軟に対応できます。
さらに、保守・運用の負担が大幅に軽減されます。サーバーの故障対応や定期メンテナンス、セキュリティ対策の多くをAWSが担ってくれるため、本来の業務に集中できるようになります。
AWS構築によって、様々なシステムを構築できます。例えば、会社のホームページやECサイト、社内の業務システム、データ分析基盤などです。従来は各システムごとに別々のサーバーが必要でしたが、AWSなら一つのプラットフォーム上で統合的に管理できます。
また、世界中のユーザーに高速でサービスを提供したり、大量のデータを安全に保存したり、人工知能を活用した機能を簡単に組み込んだりすることも可能です。
実際に構築に取りかかる前に、目的や予算、構成のイメージを明確にしておく必要があります。準備を怠ると、後から修正が必要になり手戻りが発生することもあります。ここでは、構築前にやるべき基本的なステップを紹介します。
AWS構築を成功させるためには、まず「何を実現したいのか」を明確にする必要があります。これを要件定義と呼びます。例えば、「月間1万人が利用するECサイトを構築したい」「社内の営業データを安全に管理したい」といった具体的な目標を設定します。
要件定義書作成方法としては、まず現在の課題を整理し、システムで解決したい問題を明確にします。次に、想定するユーザー数や処理するデータ量、必要な機能を具体的に書き出します。この段階で曖昧な部分があると、後々大きな問題となる可能性があるので、具体的な部分まで落とし込みましょう。
要件が固まったら、次にシステム全体の設計を行います。システム概要設計では、どのようなAWSサービスを使うか、どのようにサービス同士を連携させるかを決めます。
インフラ構成図作成ツールを使って、視覚的にシステム構成を表現することも重要です。AWSには公式の図記号が用意されており、これらを使って構成図を作成すると、関係者全員が同じ理解を持てるようになります。構成図には、サーバーの配置、ネットワークの接続、データの流れなどを記載します。
AWSは従量課金制のため、使った分だけ料金が発生します。このため、事前に予算計画を立てることが非常に重要です。主な料金要素は、サーバーの利用時間、データ転送量、ストレージ使用量などです。
AWSには料金計算ツールが用意されており、予想される利用量を入力すると概算費用を算出できます。また、無料利用枠も充実しているため、小規模なシステムであれば月額費用を大幅に抑えることも可能です。コスト最適化のために不要なリソースの自動停止設定なども併せて検討しましょう。
実際にAWSを構築する際の流れを詳しく見ていきます。アカウント作成から初期設定、セキュリティ対策、ネットワーク設計まで順を追って解説します。初心者の方でも迷わず進められるよう、ポイントを押さえて紹介します。
AWS構築の第一歩は、AWSアカウントの作成から始まります。AWSの公式サイトにアクセスし、「AWSアカウントを作成」ボタンをクリックします。メールアドレス、パスワード、アカウント名を入力し、連絡先情報と支払い情報を登録します。
クレジットカード情報の登録が必要ですが、無料利用枠内であれば料金は発生しません。アカウント作成後は、必ず多要素認証(MFA)を設定しましょう。これにより、万が一パスワードが漏洩しても、第三者による不正アクセスを防げます。
アカウント作成後、最初に行うべきはIAMユーザー管理です。IAMとは、AWSサービスへのアクセス権限を管理する仕組みです。作成直後のアカウントは管理者権限を持つため、日常作業用には権限を制限したIAMユーザーを作成します。
具体的には、必要最小限の権限のみを付与したIAMユーザーを作成し、普段の作業にはそのユーザーを使用します。また、チームで作業する場合は、担当者ごとに適切な権限を設定したユーザーを作成します。これにより、セキュリティリスクを大幅に軽減できます。
次に、システムの基盤となるネットワークを構築します。AWSでは、VPC(Virtual Private Cloud)という仮想的なプライベートネットワークを作成できます。VPC設計では、まずIPアドレスの範囲を決定し、サブネット構成を計画します。
サブネット構成では、パブリックサブネットとプライベートサブネットを適切に配置します。パブリックサブネットはインターネットからアクセス可能な領域で、Webサーバーなどを配置します。プライベートサブネットは外部からアクセスできない安全な領域で、データベースサーバーなどを配置します。
AWSでは、セキュリティグループとネットワークACLという2つの仕組みでネットワークセキュリティを制御します。セキュリティグループは、各サーバーに設定するファイアウォールのような機能で、どのポートからの通信を許可するかを細かく設定できます。
ネットワークACLは、サブネット単位でのアクセス制御を行います。例えば、Webサーバーには80番ポート(HTTP)と443番ポート(HTTPS)のみを開放し、データベースサーバーには特定のサーバーからのみアクセスを許可するといった設定を行います。
外部インターネットとの接続には、インターネットゲートウェイとNATゲートウェイを適切に配置します。インターネットゲートウェイは、パブリックサブネット内のサーバーがインターネットと双方向通信を行うために使用します。
NATゲートウェイは、プライベートサブネット内のサーバーがインターネットへの発信通信のみを行う場合に使用します。これにより、データベースサーバーなどがソフトウェア更新のためにインターネットアクセスする必要がある場合でも、外部からの直接アクセスは遮断できます。
AWSにはさまざまなサービスがありますが、目的に応じて適切に選ぶことが重要です。この章では、EC2やRDS、S3など、よく使われる主要サービスの構築方法と設定のコツを紹介します。具体例を交えながら解説していきます。
EC2(Elastic Compute Cloud)は、AWSの仮想サーバーサービスです。EC2構築方法では、まずサーバーのスペック(CPU、メモリ、ストレージ)を決定し、OSの種類を選択します。一般的には、Linux系のAmazon LinuxやUbuntu、Windows Serverなどから選択できます。
サーバー設定では、キーペアを作成してSSH接続の準備を行います。また、サーバーの自動スケーリング機能を設定することで、アクセス数の増減に応じて自動的にサーバー数を調整できます。これにより、コスト効率とパフォーマンスの両立が可能になります。
RDS(Relational Database Service)は、データベースを簡単に構築・運用できるサービスです。RDS設定手順では、まずデータベースエンジン(MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Serverなど)を選択し、インスタンスサイズを決定します。
データベース構築時には、自動バックアップの設定も重要です。RDSでは、指定した時間に自動的にバックアップを取得し、最大35日間保持できます。また、マルチAZ配置を有効にすることで、高可用性設計を実現し、万が一の障害時でも自動的に別のサーバーに切り替わります。
S3(Simple Storage Service)は、AWSの代表的なストレージサービスです。Webサイトの画像ファイル、動画、ドキュメントなど、あらゆる種類のデータを安全に保存できます。S3の特徴は、容量制限がなく、必要な分だけ使用できることです。
S3では、データの利用頻度に応じて複数のストレージクラスを選択できます。頻繁にアクセスするデータはスタンダードクラス、アーカイブ目的のデータはGlacierクラスを選択することで、コストを最適化できます。
各AWSサービスには、多数の設定パラメータがあります。サービスパラメータ設定例として、EC2では、インスタンスタイプでt3.microを選択すると、vCPU2つ、メモリ1GBの構成となります。これは小規模なWebサイトには十分なスペックです。
RDSでは、db.t3.microを選択すると、vCPU2つ、メモリ1GBのデータベースサーバーを構築できます。また、ストレージタイプをgp2(汎用SSD)にすることで、コストパフォーマンスに優れた設定となります。
すでに自社でシステムを運用している場合、AWSへの完全移行には慎重な対応が求められます。ここでは、既存システムとAWSを併用する方法や、クラウド移行を成功させるポイントを整理してお伝えします。
多くの企業では、すでに稼働している既存システムがあります。オンプレミス連携方法では、既存システムを維持しながら段階的にAWSに移行する方法を考える必要があります。最も一般的なアプローチは、VPN接続を使用して社内ネットワークとAWSを安全に接続する方法です。
VPN接続により、社内のサーバーとAWS上のサーバーが同一ネットワーク上にあるかのように通信できます。これにより、例えば社内の基幹システムはそのまま残し、Webサイトだけをクラウドに移行するといった段階的な移行が可能になります。
クラウド移行を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、すべてのシステムを一度に移行するのではなく、リスクの低い部分から段階的に移行することが重要です。例えば、まずは開発環境やテスト環境から移行し、十分に検証してから本番環境を移行します。
また、データの移行には十分な時間を確保する必要があります。大量のデータを移行する場合は、AWS DataSyncやSnowballといった専用サービスを活用することで、効率的にデータ移行を行えます。移行期間中は、データの整合性を保つため、適切なバックアップとリストア手順を準備しておくことも重要です。
AWSを活用する大きなメリットの一つは、高可用性設計を比較的簡単に実現できることです。高可用性とは、システムが常に利用可能な状態を保つ設計のことです。AWSでは、複数のデータセンター(アベイラビリティーゾーン)にサーバーを分散配置することで、一つのデータセンターに障害が発生しても、システムが継続稼働できます。
耐障害性確保のためには、ロードバランサーを使用して複数のサーバーに負荷を分散し、Auto Scalingを設定してサーバーの自動復旧を行います。また、定期的なバックアップの取得と、災害復旧(DR)サイトの構築も重要な要素です。
AWSを構築したあとは、継続的な運用と改善がカギとなります。システムを安定稼働させるための監視体制や、コストを無駄にしないための工夫が必要です。ここでは、運用フェーズで押さえておきたい管理ポイントを解説します。
AWS構築が完了し、システムが稼働開始した後は、適切な監視体制を整える必要があります。AWSには、CloudWatchという総合監視サービスが用意されており、サーバーの CPU使用率、メモリ使用率、ネットワーク通信量などを詳細に監視できます。
重要なのは、問題が発生する前に異常を検知することです。例えば、CPU使用率が80%を超えた場合や、エラーが一定数以上発生した場合に、自動的にメールやSMSでアラートを送信する設定を行います。これにより、システム障害を未然に防いだり、迅速に対応したりできます。
AWSでは、セキュリティは継続的に改善していく必要があります。定期的なセキュリティ監査を実施し、不要なアクセス権限の削除や、パスワードポリシーの見直しを行います。また、AWS Config を使用して、設定の変更履歴を追跡し、セキュリティ基準に準拠しているかを継続的にチェックします。
さらに、AWS Security Hubを活用することで、複数のセキュリティサービスの結果を統合的に管理できます。これにより、セキュリティの状況を一元的に把握し、必要な対策を効率的に実施できます。
AWS運用において、コスト管理は継続的に行う必要があります。AWS Cost Explorerを使用して、月次・日次の利用料金を詳細に分析し、予想以上にコストが発生している部分を特定します。例えば、使用していないサーバーが稼働し続けている場合や、過剰なスペックのサーバーを使用している場合などです。
コスト最適化の手法として、Reserved Instancesの活用があります。これは、1年または3年の長期契約を結ぶことで、大幅な割引を受けられるサービスです。また、Spot Instancesを活用することで、通常価格の90%引きでサーバーを利用できる場合もあります。
AWS構築は、適切な手順を踏めば、ITに詳しくない方でも安全に実現できます。まずは目的の明確化と概要設計から始まり、段階的にアカウント作成、ネットワーク設計、サービス構築へと進めていくことが重要です。
クラウド導入により、初期費用の大幅削減、運用負荷の軽減、ビジネス成長に合わせた柔軟なスケーリングなど、多くのメリットを享受できます。一方で、セキュリティ対策やコスト管理など、継続的な改善が必要な点もあります。
AWS構築を検討されている企業の皆様には、まずは小規模な検証環境から始めることをお勧めします。実際に手を動かしながら学ぶことで、AWSの特徴や運用のコツを体得していけるでしょう。本格的な導入をお考えの際は、専門的な知識を持つパートナー企業のサポートを受けることで、より安全で効率的なAWS環境を構築することができます。
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